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水素を合成した燃料、「e-Fuel」とはどういうものか?

 

みなさん こんにちわ

あるいはこんばんわ

 

さて、欧州連合とドイツのやりとりの結果、「2035年以降、e-Fuelに限定した内燃機はOK」というニュースが出まして、日本の媒体は「内燃機容認」とシンプルに発信した結果、BEV否定派は喜びの舞を披露しているわけですが、この話、そう簡単ではなく。

 

まず大前提ですが、これらの目的は脱炭素です。

これはパリ協定の2050年カーボンニュートラルを目的にしています。

なので自動車で一番理想的なのはゼロエミッションです。

 

そして発電についても化石燃料を用いた方法でなく再エネ、つまり自然エネルギーを活用した方法での発電が良いというのが世界の流れです。

これはエネルギーが乏しい国でも輸入せずに自国で調達できるようになるのと、分散して設置できることでロスが減るという点も注目されています。

 

これらの流れでいうと「世界のOPEC潰し」のように私は感じるわけですが、日本では「トヨタ潰し」というのをよく見ます。

このスケール感の違いは置いといて、欧州はEuro7排ガス規制も控えており、それは内燃機でもクリアできるが補器類でどうにかする形になり、

そのコストと今後の取り組みを考えた場合、BEVシフトという流れになったわけで。

そのEuro7排ガス規制は2027年ごろと言われており、ブレーキダストの量もその対象に入るような話になっています。

いずれにせよ、e-FuelがOKということになっても高いハードルが待ち構えているわけで。

 

そもそもそのe-Fuelとはどういうものか?

知らない方も多いと思います。

 

 

それを今回はサラッとご紹介。

 

まずはこれを見てもらいましょう。

チリにあるポルシェのe-Fuelパイロットプラントです。

つまりe-Fuelはまだまだ商用利用できる水準にはなっていません。

そのe-Fuelは水素を燃料に混合するわけです。

その水素は目的からするとグリーン水素、つまり自然エネルギー由来の電気で製造された水素でないとダメなんです。

 

なので、風力発電があるわけですね。

それで水素を作ります。

そしてCO2を600度以上の高温下で触媒を用いてCOに転換します。

生成したCOとH2をフィッシャー・トロプシュ合成反応させます。

 

それでe-Fuelが作られるわけです。

 

簡単に書いてますが、その過程で電気をわりと多く使います。

結果的にその製造に必要な電力は膨大で結果 燃料コストが既存ガソリンよりも高くなります。

 

つまりバイオ燃料とは全く違う構造のものとなっているわけです。ここ重要ですよね。

合成燃料でも混ぜるものが違うということです。

 

 

そして専門家いわく1L製造するのに27kWhのエネルギーを使うとのこと。

その結果、e-Fuelでの運転はBEVの7~8倍のエネルギーが必要となるわけです。

 

 

そんなわけでその製造などに使う電力確保も高いハードルになるわけで。

どれだけ用意する必要があるか?

ドイツを例に説明しましょう。

内燃機自動車等々の燃料はドイツだけで年間470億リットルが必要と言われています。

その場合、1250テラWh以上の電力が必要です。

そしてドイツの最近の年間の電力消費は565テラWhです。

 

つまり、e-Fuelを作るだけで現在の電気消費量の倍の電力がさらに必要となるわけで。

 

そのドイツの自動車は4700万台程度だとして、全てが電気自動車になったとしましょう。

その場合全て内燃機であった状態から約140テラWhの電力が必要となります。

 

 

極論で書きますが・・

全てe-Fuel内燃機になった場合 :標準の電力565テラWh + e-Fuel製造の電力 1250テラWh

全て電気自動車になった場合 : 標準の電力565テラWh + 電気自動車に必要な電力 140テラWh

このようになります。

 

さて、どちらが現実的でしょうか?

 

これ見てもなかなか厳しいのがわかりますよね?

 

仮に日本でもe-Fuelを使いカーボンニュートラルを達成しようとすれば同等レベルの電力が必要となります。

電力不足と言われる現状からすると厳しいですよね?

そして今後再エネが増えていくのは決まっていますので電力の上積みは可能ですが、予定でも原子力発電所30基分程度。

これでe-Fuelの電力は確保できません。

 

 

つまり「電気自動車の電気どうすんだ?」議論のほうがハードルが低いわけです。

なんなら水素(=燃料電池)のほうがまだメリットがあるとも言えます。インフラも一応少なくともありますから。

ただし、国内で水素を使うとなれば電気自動車に使う以上の電力が必要になりますから、どちらにしても再エネの発電を上げていく必要があります。

 

そしてコストですが、専門家の見立てではe-fuelの価格予測は約700円/Lです。

パイロットプラントを持つポルシェの言い分でも約260円/Lとなります

 

ちなみにポルシェはこれを富裕層に売る予定なので高くてもOKと考えています。

 

 

そしてe-FuelはT&Eの計算によると95g/kmのCO2を発生します。これは電気自動車よりも大きい数値となります。

 

 

さて、より多くの電力を必要とするe-Fuelが普及するのでしょうか?

現状それらはまだゼロに等しい状態です。

 

既存のガソリン車にも使えるという点では2035年以降の世にあるガソリン車に使えれば、より脱炭素は進むのでその点では良いと思いますが、

通常のガソリンがあった場合、その高いお金出してまでe-Fuelを入れるでしょうか?

 

「トヨタハイブリットにe-FUel入れたらいい」という話も聞きますが、40Lタンクを満タンにして一万円払います?

ほとんどの人は普通のガソリンを入れますよね。

 

 

そんなわけでe-Fuelの話だけを聞くととても良いように思いますが、かなり作るにしても使うにしてもハードルが高いわけなんです。

 

 

 

では何故ドイツはこれを言い出したか?

ドイツの運輸長官は言いました。

「基本的にはバッテリーEVが進む道と確信している」

「大型トラック等ではe-Fuelそれらが必要」・・と。

 

 

つまり言い出しっぺのドイツでもe-Fuelはトラックやバス用と考えているわけで。

※ポルシェは自社でできるので別の思考です。まずは(富裕層の)レース用から・・とも発表されています。

 

尚、ヨーロッパでのトラックやバスについては乗用車のような規制はかかっておらず、

「2030年以降に新たに販売される車両は2019年比で45%削減」・・が決まっているだけです。

 

つまり、バスやトラックの対応でe-Fuelを使う・・と考えると整合性が取れるわけで。

 

それであればLPGスタンドレベルで足りると思われます。

 

 

 

さて、今回はe-Fuelを解説してみましたが、いろんな意味で夢のような燃料ですよね?

日本がそれを導入するとして日本は自国でそれを用意できるのか?

そもそも石油を輸入している日本は価格を下げれるのか?

そして現状グリーン水素ではなくグレー水素やブルー水素を輸入しようとしている日本です。

仮にe-Fuelに加工済みの燃料を輸入するとしても、それを供給してくれる国があるのか?

その結果、エネルギーの自給率が上がらずシーレーンを守る必要性が逆に高まった場合、それは地政学的にどうなのか?

課題は山積ですね。

 

 

本日はここまで

 

 

 

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