さて、世はBEVの流れとなっています。
それに全方位といいつつ「BEVのみ」否定するような動きを見せているのはハイブリットをどうにか売りたいトヨタ・・というのが世界から見た状況なわけですが、
そんなトヨタが液体水素のカローラで24時間耐久レースを完走させました。
出典:トヨタ
これに対しファンは「すごい!次は液体水素だ!」と言ったとか言わないとか。
でも今回のこれ、あまり話題になってませんよね?
なぜか?
それは不都合があるからでしょう。
それは何か?
「液体水素って保存安定性悪いのねぇ・・」「扱いにくいのねぇ」という事実が露呈していることが理由と思われ。
ご存知の通り、この液体水素を使うにあたりマイナス253℃で保存しないといけない件、そしてそれのポンプの寿命問題もあったわけで。
そのタンクは魔法瓶構造。つまり一時的なものですね。
で、そのポンプは交換するのに7時間費やしてます。
24時間のうち、ポンプを2回交換しないといけなくてそれはざっくりその時間で「寿命」なわけで。
耐久性に難があるということなんでしょう。
それを「計画停止」と呼んでいたらしいですが、客観的に見た場合、実用とははるかに遠いことがわかると思います。
一般乗用車でそんな低温で長期保存は無理がありますし、ポンプをぽんぽん交換なんてできませんし。
そもそも、液体水素は気化させて使うのが普通だと思いますが、この車両はその点で無理があるように見えるわけで。
そしてレース単体で見て17時間しか走っていないわけで「24時間耐久とは?」というようにも思ってしまうわけですが、
液体水素の「距離が2倍」が霞むような事実もあったりします。
2021年 スーパー耐久 富士24時間 気体カローラ 358Lap Ave. 67.963km/h. Best 2'04.416
2022年 スーパー耐久 富士24時間 気体カローラ 478Lap Ave. 90.687km/h. Best 1'59.876
2023年 スーパー耐久 富士24時間 液体カローラ 358Lap Ave. 67.986km/h. Best 2'02.760
あれ?距離が2倍になったはずなのに気体カローラよりも周回少なく、平均速度も遅い。
ベストラップが遅いのは液体水素エンジンになって重量が結果的に250kg重くなったから?・・なのか?
などと思いますが、気体を液体にしてみたら全てが悪い方に進んだということになります。
そしてもう一つの事実。
ST-Qクラスだけ規定周回数の表示がないんですね。これはST-Qが開発車両扱いなので特例になっているんだと思うんです。
・・が、スーパー耐久にはこういうレギュレーションもあるんですよね。
第21条 レースの終了、及び順位認定
(5)最終周回を完了した車両の中で、クラス毎に走行周 回 数 が 優 勝 車 両の 70%(端数切捨て)に達しない車両は順位の認定を受けられない。
この70%が規定周回数で、これに達して無い場合順位認定を受けられない・・とあるわけで。
レギュレーションを見た限り、この部分に特例はないように思います。
ちなみにST-Xクラスは・・
出典:スーパー耐久
トップがAMG GT3で730周です。 この70%が規定周回数で511LAPとなっています。
一方、ST-Qは・・
出典:スーパー耐久
規定周回数の記載がありません。
トップのZ RacingConceptが685周ですが、規定通りで計算すると479周となります。
つまり、液体水素カローラは規定周回数に達しておらず、順位の認定は受けれないということになります。
規定の通りであれば。
まぁ、開発車両なのでそれらもフワッとしていていいんでしょうけど、レギュレーションの通りなら完走はすれど・・ということになりますよね。
ちなみに2021年はクラス全部が賞典外、2022年は順位が付いてましたが気体カローラは同様に規定周回数に達していなかったことになります。
諸々の結果からすると、ちょっと話題にしづらいですよね。
で、レースの純然たる結果で比べてみた場合どうなるか?
ST-Qクラスで見るとトップと比べて
・周回数 -327LAP
・平均速度 -62.02km/h
・最速LAP. -14秒
となります。
参考に優勝したAMG-GT3と比較してみましょう。
・周回数 -372LAP
・平均速度 -70.686km/h
・最速LAP. -28秒
優勝車の49%程度の結果となります。
なんだかダントツで遅いので走るシケインになってない?・・とおもうわけですが、開発車両だから許されるのかもしれませんね。
そんなわけで、上手くPRするにもちょっといろいろありますよね。
なので「完走」を持ち上げることとなるんでしょうけど、結果からすると前途多難な空気感があるように感じます。
ちなみにこの液体水素もきっちりNox(窒素酸化物)が出ます。
ぶっちゃけ同じNox出すならガソリンに近いバイオ燃料やe-Fuelのほうが一般には導入しやすいように思われ。
ST-Qクラスのこのカローラ以外はCNF(カーボンニュートラル燃料:ドイツのハルターマン・カーレス社製「GTA R100」)を使った車両が4台出てて、
バイオディーゼル燃料を使ったマツダ3も走ってますよね。
CNFはある意味レーススペシャルに思えるワケですが、オイルと混ざる件を考えるとNoxもしっかりありそう。
などと思うわけですが、マツダ3は2022年はDNFでしたが2023年はしっかり完走しラップタイムも6秒以上詰めて結果を出したと言えましょう。
このマツダ3 BioConceptは市販と同じスカイアクティブD-2.2エンジンに従来の軽油を混合しない100%バイオディーゼル燃料のサステオ(使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたユーグレナ油脂を原料としたバイオディーゼル燃料)を使っているわけで、非常に一般向けにも近い存在のものと言えましょう。
出典;マツダ
それが無事に完走し、ちゃんと進歩も見れたわけなので、もっと話題になっていいと思うんですよねぇ
でもならないんですよね。
液体水素カローラよりも結果が出てるのにね。
大人な事情がたくさん見えた24時間耐久だったなぁ・・とか思ったり。
本日はここまで
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