さて、少し前に自動車輸送船がBEVが原因で火災になった・・ように書くニュースが飛び交いました。
この件、気をつけないといけない点は「原因は不明」ということ。
そして自動車運搬船の火災は電気自動車云々以前から割とあるということ。
この手の話題ではなぜか媒体などは電気自動車をクローズアップしますが、現状世の中では内燃機を搭載する車両の火災件数のほうが圧倒的に多く、
またこれらの船舶火災でも内燃機が原因なのが圧倒的に多いわけで。
そういう前提は知っておくべきですよね。
出典:Dutch Ministry of Infrastructure and Water Management
で、自動車輸送船の火災はいままでも消火は簡単ではなく、時間がかかるものでした。
つまり、自動車自体が燃えやすい・・といえるわけです。
もちろん内燃機自動車が原因で火災が起き、それがBEVに火が移った場合、その消火が大変になる・・というのも事実です。
でもこれはリチウムイオンバッテリーをつむPHEVなども同様です。
で、船での運搬は危険物や劇物も運びます。
さて、これらが見直される場合、何が見直されると思いますか?
BEVシフト? 一番ありえないですよね。
もっと危険なものを色々な船は運んでいるわけですから。
変わるのはSOLAS条約でしょう。
SOLAS条約(海上人命安全条約)とは、1912年のタイタニック号海難事故を受けて制定された、船舶の安全確保を目的とする国際条約です。
船舶の火災安全対策はこのSOLAS条約で規定されており、いままでも事故が発生するたびに改正が行われてきました。
といことで、今回の「BEVが原因かもしれない火災」でもし見直しが入るとすれば、この規定となります。
BEVが廃止になるわけではありません。
海運がダメになるかというと、もっと危ないものを運んでいるので、それはなく、仮にそうなったとしてもダメージを受けるのはその輸出/輸入国となります。
つまり、海運を使わないEUや北米、中国国内では全く影響が無いといえるので、島国が困るということですね。
話をもどします。
その見直しはIMO(国際海事機関)で行われるわけですが、自動車運搬船の安全対策についてもいろいろと提案されています。
リチウムイオン電池を搭載する自動車の火災についても2020年3月に提案されています。
この時の結論は幅広い検討が必要・・となり、2021年10月の委員会で今後の作業計画が協議されました。
でも現実として貨物とされている車両のうち、新エネルギー自動車は高い割合にあるわけでなく、
そして火災事故でもガソリンを燃料とする自動車が中心であったわけなので、当時の検討はガソリンを燃料としたもの・・と仮定されて実施されました。
これらの検討会では車両燃焼実験などで消火装置の選定などが行われました。
で、もしBEVが火災でこれらが問題になって何かが変わるとしたら何がかわるのか?
もうおわかりですよね。
BEVシフトが止まるわけでなく、このルールが変更になる・・ということです。
仮に百歩譲ってBEVの海運がダメになったとしますよね?
その場合、輸入している国はそれらの車が入ってこないということになります。
そして日本からの輸出もダメになるので、北米や欧州で日本自動車メーカーは製造ラインを作らなければいけなくなります。
え?日本国内だけでやっておけばいい?
それだと日本自動車メーカーは潰れます。
北米・中国が1番の市場ですからね。
で、もしそうなったら日本自動車メーカーは大きな投資が必要になっていきます。
BEVは専用ラインですからね。
そんなわけで、この話で「海運でBEVが運べなくなった!ザマァ見ろ」と言っている方は仮にそうなれば日本自動車メーカーの首がしまっているということに気がついていないわけで。
そしてリチウムイオンが対象となれば、BEVだけでなくハイブリットもアウトになるわけです。
そんなわけで、何にしても冷静に物事は判断しないといけませんよね。
ましてや原因は現時点で不明ですから。
仮にこれでBEVが原因じゃなかったとして、その疑惑をかけた媒体は修正するんでしょうか?
まぁ、しないんでしょうね。
まったく、どこに忖度しているんだか・・
というか、この件でSOLAS条約に触れてない媒体の多いこと・・
本日はここまで。
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